ボランティアのこと聞きました!(盛岡市ボランティア連絡協議会 遠藤会長インタビュー)
2025年11月13日
盛岡市ボランティア連絡協議会(以下、ボラ連)は、主に盛岡市内で活動するボランティア団体が協力しながら会員同士の交流や情報発信、研修等を通じボランティア活動の活性化に取り組んでいます。今回は、会長の遠藤真喜男さんにお話をお伺いしました。
※本インタビューは令和7年12月15日発行予定の福祉もりおかNo.222号と連動しています。

1.ボラ連について教えてください
ボラ連は現在90団体約10,000人が加入している盛岡市のボランティア団体の連携組織です。交流活動や、毎年アイーナで開催しているボランティアまつり「ふれあい広場」、研修会などを通じ活動の悩みを共有したり交流したり、情報発信等をしています。最近は災害ボランティアにも目を向けるため、災害に関する講習(炊き出し体験等)にも取り組んでいます。
2.ボランティアを始めたきっかけはなんですか
保険の代理店を営んでいるのですが、ある時、窓口に聴覚障がいのお客様が手話通訳の方と一緒にいらっしゃいました。一生懸命、お客様にお話をしようとしても、どうしてもお客様は手話通訳さんの方を向き、こちらを見ていただけない。自分でちゃんとお話を伝えたいと思い「次回いらっしゃった時は、私が直接お話をお伝えします」とお客様に約束し、そこから手話サークルや手話の勉強会に参加するようになりました。
ちょうどその頃、手話を題材にしたテレビドラマもあり、ちょっとした手話ブームがあった記憶があります。そうして数年後、サークルの代表になり、ボラ連の活動にも参加するようになりました。
3.いままでどんなボランティア活動に参加しましたか
手話サークルの活動もですが、災害ボランティアにも色々参加しました。実は前職が山林などの測量をするもので、土木への関心もあったことも影響しています。
一昨年、秋田の災害ボランティアに参加した時の話ですが…夏場の熱中症には十分気をつけていたものの、気温や湿度に加え長距離運転の疲労もあったのでしょうか、帰宅後に強い眠気とだるさに襲われて「これは熱中症だな…」と。改めて熱中症対策の大事さを痛感しました。昨年盛岡で起きた大雨災害でもボランティアに参加しました。最近はボラ連のようにボランティアを支援する側の活動が中心ですね。

4.ボランティア活動の中で印象深いエピソードがあれば教えてください
エピソードという感じではないのですが…ボランティアに一生懸命な人ほど活動を続けられなくなっていく姿をたくさん見てきました。ボランティアはマラソン競技のようなものだと思います。熱心に参加しているといろいろなイベント機会も多く、次第に心身とも疲れが溜まってしまい、思いがあっても続かなくなってしまう。上に立つ人が気を配るのが大事だと思いますが、ボランティアをする人が「自分のできる範囲」を決めて取り組むことが大事かなと思います。でないと、何かが犠牲になる。あんないい人が…と思う人が、たくさんボランティアから離れる姿を見ました。
-一方で、長年続けていける魅力もあると思います。ボランティア活動の魅力はなんでしょうか
相手の方に喜んでもらえると「あぁ、良かったな」と思います。もちろん、喜んでもらうことを求めるものではないですが(笑)。対価を求めないというのがとても大事なところです。対価を求めてしまうと、これもまた続かない。中には(依頼側が)ボランティアを仕事のように扱い「やってもらって当然」のような人もいますが、そうした意識は変わると良いなと思います。
-お互いの敬意の部分は大切ですね
意識の部分で言うと、アメリカの野球場の清掃ボランティアが持っている「自分たちの街のチーム、球場を自分たちが応援するんだ」というマインド。こうした意識も広まるといいなと思います。「街を良くしたい」という思いは多くの人が持っていると思いますが、行政だけでなくボランティアができることはたくさんあると思います。
-人とのかかわりという部分ではどうでしょうか
仕事などでは上下関係が生まれますが、ボランティアではそれぞれの参加者がフラットな立場なところも良いと思います。ボランティア活動を通じて、様々な価値観や出会いがあります。中には一生の付き合いになる方もおり、ボランティア活動をしていなければ出会えなかった方々との関わりにとても価値を感じます。
今思い出した話なんですが…。40年ほど前、英会話教材の勧誘を受けて。相手は中年の女性の方でした。熱心に契約を迫ってくるのを断っていたら「あなたはボランティアをしたことはありますか」という謎の問いかけがあり戸惑っていると「あなたみたいな人はボランティアなどしないのでしょうね!」と捨て台詞を言って去っていきました。なぜこの方が急にそんな事を言い出したのかはよくわかりませんが、当時は「ボランティア」が崇高で、ごく一部の人や宗教家だけがするようなイメージがあったように思います。
-いまはずっと身近に、気軽になったように感じます。だいぶボランティアに対する社会の意識も変わったんですね
そうですね。いま自分はボランティアとしては支える側にいるかもしれませんが、いつかは自分が支えられる側になるかもしれません。その時までは自分ができる活動をやりたいなと思っています。その時まで(活動を)貯金しているような。ボランティアの貯金(笑)

5.これからボランティアを始める人、始めたい人へメッセージをお願いします
まず自分にできる範囲、量、「これくらいならできるかな」を決めて欲しいです。先に話したとおり、熱心な人の中には途中で疲れてしまって辞めてしまう人もおり、私も多く見てきました。そういう意味で「断る勇気」も備えていただきたいです。そしてせっかく活動を始めるなら、できるだけ長く活動いただきたい思いがあります。もちろん生活の変化で活動が難しくなる時期もあるかもしれません。ですが、また時間ができたら年1回でもボランティアに参加してみる、そういう風に「気軽に、長~く」ボランティアを楽しんでいただきたいと思います。「ボランティアしたい」と思う人が増えると良いですね。例えば子育てで活動が難しくなったら、一回ストップして良い。またやれるタイミングで再開すれば良いと思います。そして、ボランティアを企画する側は参加のハードルを下げる企画力も大事かなと思います。
-今日はありがとうございました!


